
Brothers Johnson / I'll Be Good To You
柔らかな愛情がグルーヴに溶ける極上メロウFunk Soul
1977年、USの実力派兄弟デュオBrothers JohnsonのI'll Be Good To Youは、タイトル通りの温かな愛情をそのまま音にしたような、極めてスムースで心地よいSoulナンバーです。今回のUK盤12インチシングルでは、あのStrawberry Letter 23の裏にひっそりと収録されているという点もコレクター心をくすぐるポイントですね〜。いわば「隠れた主役」のような存在でありながら、内容は堂々たるリードトラック級の完成度を誇る1曲となっています。レコードを掘っていると、どうしてもA面の有名曲ばかりに目が行きがちですが、何気なく盤を裏返したB面にこんな素晴らしい曲が収録されている…この発見こそ12インチシングルを集める面白さのひとつなんですよね。
Louis Johnsonのベースが生み出す「押しすぎないファンクネス」
針を落とした瞬間に広がるのは、柔らかく包み込むようなコード進行と、タイトに刻まれるリズムセクション。Louis Johnsonのベースは過度に主張せず、楽曲全体を優しく支えながら、ジンワリとしたグルーヴを生み出していく…この「押しすぎないファンクネス」こそが、この曲の最大の魅力となっています。Louis Johnsonといえば強烈なベースプレイをイメージする人も多いでしょうが、ここではテクニックを前面に押し出すのではなく、あくまで曲を気持ち良く聴かせるためのベースに徹している。その絶妙なサジ加減が実にイイんですよね。Funkでありながら重たくなりすぎず、Soulでありながら甘くなりすぎない…この絶妙なバランスが、何度聴いても飽きるコトのない心地よいグルーヴを作り出しています。
George Johnsonの歌声とQuincy Jonesが描く感情の高まり
そこに重なるのが、George Johnsonのリードヴォーカル…普段はLouis Johnsonが前に出るコトが多い彼らだが、本作ではGeorge Johnsonの柔らかくソウルフルな歌声が前面に出ており、その優しさが楽曲のメッセージと見事にリンクしていますね。展開としては、メロウな導入から徐々に熱を帯び、サビでイッキにぐわぁ〜っと感情が解放される構成です。シンプルでありながら計算され尽くしたブラスの入り方、そしてシルクのように滑らかなコーラスワークが、聴き手の感情をジワジワと高めていく。この辺りのアレンジメントは、やはりQuincy Jonesの手腕が光る部分ですねっ!70年代後半のSoul/Funkにおいて、洗練とポップネスを同時に成立させた彼のプロダクションの真骨頂がココに宿っています。演奏そのものは非常にタイトなのに、聴いた印象はどこまでも柔らかい…この相反する要素を自然に成立させているトコロにも、この曲の完成度の高さをカンジます。
大ヒットの裏側にある、日常へ溶け込むSoulミュージック
リリース当時、この曲はBillboard Hot 100で3位、R&BチャートではNo.1を記録しました。ラジオでも頻繁にオンエアされ、ダンスフロアというよりは日常に寄り添う音楽として多くの人に愛されたタイプの曲となりました。だからこそ、この曲にはハデさとは別の、ジンワリと心に残るチカラがあるんでしょうね。リリックのテーマはシンプルで、「君を大切にする」「ずっとそばにいる」というストレートな愛情表現です。しかしそのコトバが軽く響かないのは、メロディとグルーヴがしっかりと裏打ちしているからでしょうね。聴いているうちに、まるで誰かに優しく語りかけられているような感覚に包まれますね。さらに興味深いのは、この曲が後にQuincy Jones自身によって再解釈され、Chaka KhanとRay Charlesを迎えた1989年版として蘇る点です。時代や歌い手が変わっても成立するというコトは、それだけメロディとメッセージそのものに普遍的な強さがあるという証明なのでしょう。
Strawberry Letter 23の裏側で見つける12インチの楽しさ
今回のUK盤12インチという視点で考えると、やはりStrawberry Letter 23という強烈な名曲のB面にI'll Be Good To Youが収録されているという組み合わせがなんとも贅沢なんですよね。DJならStrawberry Letter 23をプレイするためにバッグへ入れておきながら、その日のフロアの空気によっては盤を裏返してI'll Be Good To Youを選ぶ…そんな使い方ができるのも実に魅力的です。華やかなピークタイムではなく、フロアの温度をじんわりとアゲたい時、あるいは自宅でまったりっと過ごしたい夜にこそ真価を発揮する1枚です。レコードで聴けばLouis Johnsonのベースの丸みやドラムのタイトさ、George Johnsonのヴォーカル、そしてブラスやコーラスが重なった時の厚みまでシッカリと味わえる。こういうレコードは、一度手に入れると長く手元に置いておきたくなりますね〜。流行を追いかけるのではなく、何年経ってもフトした時に聴きたくなる…まさに生活に溶け込むグルーヴと言えるナンバーです。夜、少し肩の力を抜いてこの12インチに針を落とせば、その柔らかなFunk Soulのグルーヴがジンワリと部屋いっぱいに広がっていくハズですよ。


